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「レッジョエミリア教育」とは。

【レッジョ・エミリア教育】

世界中の乳幼児教育関係者をはじめ、
デザイナーや建築家、芸術家、行政関係者からも
注目されている「レッジョエミリア教育」をご存じでしょうか。


レッジョエミリア教育とは、
1991年にニューズウイーク誌に
「世界で最も優れた教育」として取り上げられ
現在でも高く評価されている幼児教育の1つです。





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レッジョ・エミリア教育における3つの柱とは、

・子どもの権利
・時間
・社会性

であると言われます。


■子どもの権利

レッジョ・エミリア教育が、
世界で最も高い教育方法の基準であると言われる理由は、

「子どもの権利」を尊重するという考えが徹底されているからです。

日本でも憲法などの法律で人権が保障されています。

「幸せに生きる権利」
「虐待や拘束を受けない権利」

「何かを試してみる権利」
「質問する権利」
「間違う権利」

「想像する権利」
「考え、悩み、迷う権利」
「黙っている権利」…など。

こどもが本来持っている特性をすべて受け入れる姿勢を示しています。

1人1人が思い思いの行動をとって良いという姿勢です。

 

■時間

レッジョ・エミリア教育では、

あらかじめ決められたカリキュラムや時間割は一切ありません。

決して職員は何もしないということではなく、

こどもの言葉や想いをくみ取り、支え、発展するお手伝いをします。

こどもたちの気持ちや言葉から、
こどもたちのペースで発展していくものを「プロジェクト」と呼びます。

大人に急かされることによって、

こどもたちは本来持っている創造力(考える「想像」と作る「創造」)、

好奇心を発揮することができなくなると言われます。

レッジョ・エミリアでは、
長期的に1つのテーマを掘り下げていくことで、

決して急がず、こどもの時間感覚に合わせたゆとりある教育を行うようにしています。

 

■社会性

先に述べた通り、レッジョ・エミリア教育では、
4~5名のグループに分かれて「プロジェクト」と呼ばれる活動を行います。

プロジェクトは保育士が指示を出すのではなく、

こどもたちが互いに話し合って意見を出しながら作業を進めていきます。

テーマの決定や、参加人数、何を作るか、どのように作るかなど、

子どもたちが対等の立場で決めていくのです。

時に地域に出向き、地域の人々と関わったりすることで、
こどもや大人、分け隔てなく繋がっていきます。

そこで、

お互いの意見を尊重することや相違点を認めることをなどを身につけます。

そうした作業を繰り返すことで、
こどもたちが自然と「社会性」を身につけるよう工夫されています。


「レッジョ・エミリア教育」は、

こどもの人権を大切にし、
社会の一員として認め、
こどもが持つ特有の時間を大切にしています。

こどもたちが
「自ら考えて行動する力」
「自ら学習する力」を高められるよう、

関わる大人は、こどもの取り組みを急かさず、否定せず…といった、
自主性を大切にしています。

 

レッジョ・エミリア教育方法と、一般的な教育方法の違いは

「大人の指示で動くのではなく、子どもたちが自ら行動する力」を

大切にしている点かもしれません。

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基本的な考え方を踏まえた上で、
「レッジョ・エミリア教育」の具体的な内容を一部ご紹介します。
これらは、日本の保育施設などでも取り入れてられていることも多くあります。


■ ”芸術”を通じた学び

レッジョ・エミリア・アプローチでは、
こどもたち、保育者、アートを専門的に学んだアトリエリスタなど、
関係する人全てが、アートを通じて主体的に学びあいます。

「アート」と言っても、
芸術家になるために技術や感性を磨くことや素晴らしい作品を作ることが目的ではありません。

創造的な体験を通じて、
こどもたちは自ら考える力や他者と協働する力、
表現力などさまざまな能力を伸ばし、自身や他者、世界に対する認識を深めていきます。

アートを通じた教育は、
こどもたちの表現、探求、理解の手段として非常に重視されています。


また、アートに取り組む環境にも特徴があります。

レッジョ・エミリアの学校には、
教育の専門家「ペタゴジスタ」とアートを専門的に学んだ「アトリエリスタ」がいます。
アトリエリスタはアートをこどもたちに「教える」ことはせず、こどもたちのサポートを行います。

さらに、

アートに利用する材料も多岐に渡ります。
画用紙やクレヨンはもちろん、土や小枝、貝殻、水、雪、空き箱、缶、壊れたおもちゃ…
身近にあるものはなんでも利用します。

街の中には、「レミダ」と呼ばれる廃材や色々な素材を集め、
自由に持ち寄ったり、使ったりできる場所があります。

さまざまな材質に触れ、多くのことに気がつき、
世界を認識していく過程を大切にしているのです。


■こども主体の ”プロジェクト活動”

レッジョ・エミリア・アプローチのもう一つの特徴が
先にも述べた「プロジェクト活動」です。

プロジェクト活動とは、
こどもたちが4〜5人の少人数のグループに分かれて、
話し合いながら自主的に活動を進めていくものです。

保育者も一緒に話し合いに参加し、対話を重ねますが「教える」ことはしません。
プロジェクト活動に決まったゴールはなく、対話の中で生まれたアイディアを実践していくことで進めていきます。

また、プロジェクトの期間も決まっておらず、
すぐに終わる場合もあれば数週間、数ヶ月続く場合もあります。
こどもたちは納得いくまで、一つのことを多角的に深掘りした活動をすることができます。

もちろん、こどもが主体と言っても、
保育者は子どもをただ見守っているだけではありません。

1日のはじめには子どもたちが興味を持って「プロジェクト活動」に参加していくための
いくつかのテーマ(教室に素敵な花を用意したり、ゲームの大会を提案したり…)を用意して発表し、
丁寧な導入を行います。

活動の最中にはさまざまなきっかけを与えて、
こどもたちと共に学びながら、対話を重ねて学びを豊かに広げていきます。


■ドキュメンテーションによる記録

レッジョ・エミリア・アプローチでは、
「結果」よりも「過程」を重視します。

そのため、大切になるのが活動の「過程」を記録したドキュメンテーションの作成です。

こどもたちがどのような会話をして、
何に気づき、何を不思議に思ったのか。

こどもたちの毎日の会話や発言、行動を
保育者は細かく写真・動画・スケッチ・メモなどで記録します。

そして、子どもたち自身や保護者、または地域の人々と一緒に振り返りを行います。



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自立心や社会性を養うことの大切さは、
日本の保育・教育活動の指針である

保育所保育指針」においても記載されています。

レッジョ・エミリア教育方法と、アプローチの仕方は異なりますが、

子どもの成長を支えるという方向性は、共通する点が多いです。



ひなたぼっこ保育園の保育方針は、
法令、保育所保育指針、研究・論文などを根拠として、
以下の3つをスローガンとして掲げています。

「のびのびと楽しむ力」
「自分で考える力」
「みんなで協力する力」

保育園は、0歳から就学前の人格形成上、
最も重要な時期を長時間過ごす場所です。

私たち保育者は、
こどもたちに寄り添いながら、指導や指示をするのではなく
こどもたちが主体的に遊び、育つことができ安心して遊べる環境を整え、
こどもたちの成長を支えていきたいと常に思っています。


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【最後に】

レッジョエミリア教育の創設者
ローリス・マラグッツイの「100のことば」という詩があります。

この詩は、

こどもが持つ無限大の可能性の象徴でと言われ、

こどもの無限大の可能性のほとんどを、

大人が言葉や態度の1つ1つの積み重ねで「奪っている」

という視点を訴えています。

ひなたぼっこ保育園では、
今後も「なぜその保育をするのか」を考えながら保育を進めていきます。




「100のことば」

こどもには100とおりある

こどもには

100のことば
100の手
100の考え

100の考え方
遊び方や話し方100

いつでも100の聞き方驚き方、愛し方
歌ったり、理解するのに100の喜び

発見するのに100の世界
発明するのに100の世界

夢見るのに100の世界がある

こどもには100のことばがある(それからもっともっともっと)

けれど99は奪われる
学校や文化が
頭とからだをバラバラにする

そしてこどもにいう

手を使わずに考えなさい
頭を使わずにやりなさい
話さずに聞きなさい
ふざけずに理解しなさい
愛したり驚いたりは復活祭とクリスマスだけ

そしてこどもにいう
目の前にある世界を発見しなさい

そして100のうち99を奪ってしまう

そしてこどもにいう

遊びと仕事
現実と空想
科学と想像
空と大地
道理と夢は
一緒にはならないものだと

つまり100なんかないという

こどもはいう

「でも、100はある」


ローリス・マラグッツイ

 

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